鍵の修理

引き戸の故障

引き戸は扉の中でもトラブルが多いものである。

今回は鍵がかかりにくく、うまく施錠できないし、解錠もしづらくなっているという相談を受けた。
問題の鍵はミワロックのSL-02という鍵であった。

お客様の言うとおり、たしかに鍵のかかりが悪くなっていた。このような症状は引き戸ではよく見られるものである。このような不調が当たり前だと思って使い続けている人も多いのである。

これは鍵自体が壊れたのではなく、鍵本体の位置がズレてしまっているため、鍵のかかりが悪くなっている。
引戸錠は二枚の戸が重なりあうところに錠前があるのでこの位置がとても重要なのである。しっかりセンターにきていないと鍵がかかりにくくなってしまう。
さらに前の戸と後ろの戸の隙間も大事である。
隙間が大きくなっていると鎌がひっかかって操作が重くなっていしまう。
普段扉を開け閉めしているため、戸車というコロが摩耗してしまって、扉は左右に傾く。そうなると正しい位置がずれ、鍵のかかりが悪くなってしまうのである。

また、今回の場合は最初に鍵を取り付けた方法も良くなかったようである。あまり慣れていない業者が行ったのであろうことが予想される。

鍵は毎日使うものなのでちょっとでも使いづらくなっているとストレスがたまってしまう。急いでいる時にスムーズに鍵を掛けられなかったりもする。
調子が悪かった引き戸がスムーズに動くようになってお客様にたいそう喜んでいただけた。

マンションの共有部分

マンションの共有部分の鍵が開かなくなってしまったという相談を受けた。
住人の方たちが困ってしまうのですぐにでも対処して欲しいということだった。

現場をみてみるとミワロックの電気錠が使われていた。
このタイプの電気錠はマンションの共有部分にはよく使われているものである。現在は廃盤となっている。
そして故障したため現在は電気錠としては使っておらず、普通の錠前として使っているそうである。

このタイプの鍵は内側からサムターンをひねると下のドアノブを回すことができるものである。
今回のトラブルはツマミを回してもノブが固くなっていて全く回らなくなっている。

原因はドアの建付が悪くなっていることによる。
内側から見てみるとかなり隙間ができてしまっていることがわかる。
扉が外側に煽られてロックの棒にガンガンと圧力がかかっており、引っ込ませることができなくなっていた。

これをとりあえずは開錠し、建付を直す。
しかし、これがなかなか困難であった。
扉枠のふくらみは直すことができるが、扉のアオリは難しい。
少しよくなっても鍵のかかりは良くならない。
仕方ないので扉が枠に擦れないようにし、ロックの受けの位置を調節する。
既存の位置よりも前にして圧力がかかるのを軽減した。
扉のあおりは完全にはなおらないが、鍵のかかりをスムーズに戻すことができた。

 

トイレとお風呂の鍵修理

マンションの大家さんより壊れているトイレの鍵とお風呂場の鍵を修理してほしいという依頼があった。

トイレの鍵のほうはラッチというドアノブを回すと飛び出てくる部分がドアノブを元に戻しても飛び出したままになっていて引っ込まなくなっている状態になっていた。
このままでドアをしめてしまうと外にでられなくなってしまう。

この部屋のお客様は自分で応急処置としてラッチが出てこないようにガムテープで塞いでいた。これは正しい処置だといえる。

こちらの鍵の場合は緊急時は中から施錠されていても外から簡単に開けられる非常解錠装置つきのものであった。
また、定番のドアノブ錠であったため、在庫で持っていた製品ですんなりと交換対応することができた。

次に風呂場の鍵の修理である。
こちらもラッチにトラブルが起きていた。こちらの場合はラッチが引っ込んだままでドアノブがカチカチとなって回せない状態になっていた。
扉を閉めてもラッチが回らないので風などにあおられるとすぐにドアが開いてしまうのである。

こちらのドアノブは廃盤になっていたため、違うメーカーの似たような製品で交換対応することになった。
製品のフロントサイズが少し小さいものになるが無事に取り付けることができた。
こちらの鍵も緊急時は外から鍵が開けられるものになっている。

お風呂場は特に湿気で鍵が壊れやすいので注意が必要である。

フロアヒンジの交換

鍵屋では鍵の交換だけではなく、ドア周りに関係する様々な部品の交換や修理にも対応することがある。

今回はフロアヒンジの交換に対応したときの作業について紹介する。

フロアヒンジとはドア周りの部品の一つである。ドアを開けた時に自動でドアをゆっくり閉めてくれる働きをする金具である。
ドアクローザーと同じような働きをしているものだが、フロアヒンジは床に埋め込むタイプである。

ドアの下の床に埋められて使われており、普通は金属のプレートで覆われている。金属プレートが目隠しで覆われていることもある。
誰もが一度は目にしたことがある部品だと思われる。

会社などのビルのエントランスのドアや店舗のフロントドアであったり、デパートなどの建物のエントランスドアなどにも使われている。主に強化ガラスの重たいドアに使われている部品である。

なぜドアをゆっくり閉める部品が必要なのかというと、このようなエントランスの強化ガラスというのは重たいため、開けっ放しになってしまうからである。
そして勢い良く閉まるのも間に人が挟まってしまう可能性があり、危険である。だから、手を離しても自動でゆっくり閉まっていく機構が必要なのである。

このように、フロアヒンジは安全装置の一部なので、壊れてしまうととても危険である。
フロアヒンジを交換する作業はドアが重たいのでひとりではできない。また、床に埋め込んである製品のため、同じ製品を使って交換しなければならない。
さらに、フロアヒンジのセメントケースを交換するのも大変な作業である。
サビが酷い場合などはセメントケースも交換し無くてはならない。
そうなると鍵屋だけでは手に負えず、ケースを剥がすための釣り屋、床を補修するタイル屋に作業を頼む必要がある。